育児や介護を担う看護師にとって、勤務時間を短縮できる「時短勤務」は、改正育児・介護休業法で認められた心強い制度です。この制度を活用することで、仕事と家庭のバランスを取りやすくなりますが、その運用がスムーズにいくかどうかは、職場の環境と本人の心がけに大きく左右されるのが現実です。
時短勤務を円滑に進めるためには、周囲のスタッフの理解と協力が不可欠であり、その信頼を築くためのいくつかのポイントがあります。
まず基本となるのは、限られた時間の中で最大限のパフォーマンスを発揮するタイムマネジメント能力です。常に業務の優先順位を意識し、「どのケアから行うべきか」「今やるべきことは何か」を判断しながら、集中して業務にあたることが求められます。もし時間内に業務を終えるのが難しいと判断した場合は、勤務終了間際に報告するのではなく、早い段階で上長に相談することが賢明です。これにより、チーム全体での業務調整がスムーズになり、特定の人に負担が偏るのを防げます。
また、信頼関係の基盤となるのが、丁寧な情報共有、すなわち「申し送り」です。退勤時間の慌ただしい状況でも、患者さんの安全に関わる申し送りは正確に行わなければなりません。不十分な情報共有は、残るスタッフに余計な負担をかけるだけでなく、医療インシデントのリスクを高めることにも繋がりかねません。勤務の終わりには一度立ち止まり、残務や伝えるべき事項を冷静に整理する習慣をつけることが、信頼を維持する上で非常に重要です。
さらに、チームの一員として貢献する姿勢も大切です。少しでも時間に余裕が生まれたときに周囲を見渡し、人手が足りていない業務を積極的に手伝う意識を持つことで、職場の雰囲気は大きく変わります。自分から動くことで「お互い様」という協力体制が育まれていくでしょう。
時短勤務は法律で保障されたものですが、それを実現できるのは、不在の時間を支えてくれる同僚の存在があってこそです。その感謝の気持ちを忘れないことが、良好な人間関係を築く上で何よりも大切と言えるでしょう。
時短勤務を活用したいとお考えの方は、『看護師に時短勤務は難しい?』という看護師のためのサイトを参考にしてみてください。